解説集
  • 一.夏目漱石と寺田寅彦

第五高等学校に入学した寅彦

 寺田寅彦は、明治11年(1878年)に東京市麹町平河町で陸軍会計監督をしていた寺田利正と亀の末子(長男)として生まれ、利正が熊本鎮台に単身赴任したため、明治14年(1881年)に祖母・母・姉と、父の郷里である高知の家に転居し、明治29年(1896年)7月に高知県尋常中学校を卒業して、同年9月に熊本の第五高等学校(大学予科第二部)に入学し、4月に着任したばかりの夏目漱石と出会った。

(昭和9年の寅彦/『昭和文学全集3寺田寅彦集』から)